日本のエアコンとウォシュレットがアジアに奇跡を起こす!

2014-11-05

新興アジアではエアコンの効いた職場で、進んで残業をする人間が続出

 これまでの連載で日本の存在感低下をつらつら述べてきたが、もちろんまだまだ私たち日本人が世界に胸を張って誇るべきものを手にしていることも忘れてはならない。

 半導体やテレビなどは失っても、これがなければ世界が困るという家電製品をまだ日本は持っている。

 その代表例として、私はエアコンとウォシュレットを挙げたい。

 21世紀はアジアの世紀だと言われている。中国やインド、そしてASEANに属する新興アジア諸国は、今日まで目覚ましい経済発展を遂げてきた。

 では、なぜ、アジアがここまで発展したのだろうか? たとえば、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムなどの過去10年間の名目GDPの伸び率は日本をはるかに上回っている。このような「アジアの奇跡」はなぜ起こったのだろうか?

 エコノミストなら、「いずれの国も人口オーナス期にあり、賃金が低かったことで、世界からの投資を呼び込むことができた。安価な労働力を求めてグローバ ル企業が進出し、生産拠点を設け、そこで行われる生産と雇用の創出をとおして内需を押し上げることに成功した」などと答えるだろう。

 しかし、そこには肝心な点が抜けている。それは、新興アジア諸国が亜熱帯か熱帯に属し、一年中暑いことだ。これまで経済発展を遂げた先進国は、ほとんどが温帯にあった。

 とすれば、新興アジアは例外、希有な例となる。賃金が安かろうと、暑くて働けばすぐ汗だくになるようなところで、高度経済成長など望めないはずではないのか?

 というわけで、亜熱帯、熱帯アジアの経済発展の最大の理由は、日本のエアコンの普及ということになる。昔は、暑いところの人々はみな怠け者と思われてい た。一日中、だらだらと過ごし、働く意欲もないので、そんなところに工場を建てても生産効率は上がらないと思われていた。しかし、日本のエアコンが、それ が偏見だと証明した。新興アジアの人間も、快適な職場環境さえあれば、先進国の人間と同じように仕事ができると、日本のエアコンが証明したのである。

 エアコンが最初にやって来たのは、もちろん、工場や職場だ。いまだに家庭では高くて買えない。そこで、工場に行けば涼しいと労働者が殺到した。なにし ろ、家にいるより快適なので、仕事ははかどる。もっと長居したいため、進んで残業をする人間も出た。こうしてグローバル企業はエアコンを使うことで、安価 な労働力を手に入れたのである。

なぜ、インド映画は異常に長いのか?

 現在、アジア各国ではエアコンが急速に普及している。しかし家庭では、日本、香港、シンガポールを除いて、まだほとんど普及していない。インドの普及率 はわずか6・4%、インドネシアは7・0%、ベトナムは5・6%、タイでも14・0%(2010年、IMF)だ。そのため、とくにインド人は、エアコンが あるところならどこにでも殺到する。

 インド映画は、上映時間が異常に長い。途中で登場人物がストーリーと関係なく踊り出したり、主役がいきなり歌を歌ったりするので、「主人公と美女が急に踊り出す変わったB級映画」と思われている。ともかく長くて、上映時間は3時間以上がザラだ。

 だから、インドの映画館で映画を見ると、途中で突然上映が止まるのでびっくりする。インド映画にはトイレ休憩があるのだ。そして映画評論家は、インド映画が長い理由を「それはインドの伝統で、インド人がミュージカル的な娯楽を好むから」と説明する。

 しかし、本当の理由はまったく違うということを、私はあるとき、インド生活が長い日本企業の駐在員から聞いた。

 「インドでは映画館が涼む場所なんです。家にエアコンがないから、映画館に行く。だから、映画は長くないといけないんですよ。たっぷり涼んで、昼寝もできますからね」

 つまり、登場人物にワケもなく踊らせて無理矢理時間を長くする、それが本当の理由というのだ。私はこの説に思わず納得したが、真偽を確かめてはいない。

図表●アジア各国の世帯当たりの家電普及率 ※クリックすると拡大

 エアコンばかりではない。暑い国ではよく冷える冷蔵庫も必要だ。さらに、よく汗をよくので、簡単に洗濯ができる洗濯機も重要な必需品となる。

 日本が高度成長を始めたとき、「三種の神器」とされた家電製品があった。1950年代後半、「三種の神器」とされたのは、テレビ(当時は白黒)、洗濯機、冷蔵庫である。
 その後、1960年代半ばになると、これが「3C」になり、カー(クルマ)、カラーテレビ、クーラーが「三種の神器」になった。

 その後もいろいろな「三点セット」が登場したが、アジアの国ではまだまだ、日本の初期の「三種の神器」が欠かせない。

 図表「アジア各国の世帯当たりの家電普及率」は、アジア各国の世帯当たりの家電普及率だが、これを見れば、まだまだ日本の家電が必要なことがわかると思う。

ウォシュレットでないときのがっかり感たるや……

 このように、日本の家電の力はすごいのだが、今後、ここに加えたいのがウォシュレットだ。これは、いまや世界中の人々がもっとも欲しがる家電製品となっている。

 もともと日本人には「おしりを洗う」という習慣はなかった。しかし、ウォシュレットのおかげで、「洗わないと気持ちが悪い」というほどまでになった。私の場合、どこに行ってもトイレがウォシュレットでないとがっかりする。

 日本では多くのトイレがウォシュレットだから、このがっかり感はものすごく大きい。

 たとえば海外のホテルで、トイレがウォシュレットでないと、客室のテレビが韓国電機メーカーだったときの何倍もがっかりする。

 中国にしても新興アジア各国にしても、一部の都市部を除いてトイレのひどさは筆舌に尽くし難い。トイレのひどさに用を足すのを我慢し、ドア付きで水洗トイレのあるところを探しまわったことが何回もある。

 ウォシュレットの日本での出荷台数は、2013年の時点で4000万台を超えている。内閣府消費動向調査によれば、ウォシュレットを含む温水洗浄便座全体の家庭での普及率は8割に達している。

 ところが、海外、とくに新興アジアではウォシュレットはほとんど普及していない。もし、新興アジア地域の家庭のトイレのほとんどがウォシュレットになれば、新興アジア経済はいま以上に大発展を遂げるだろう。

 現在、ウォシュレットにいちばん感動しているのが、中国人だ。中国では家を建てると、人を呼んで盛大に祝う習慣がある。このとき、「ウチのトイレはウォシュレットだから、ぜひ来て試してほしい」というのが、最近の決まり文句になっているという。

インドにはテレビや冷蔵庫はあってもトイレがない!?

 ここで再びインドの話になるが、インドというのはすごいところで、家庭にテレビや冷蔵庫はあってもトイレがない。首都ニューデリーのスラムに住む人々 は、毎朝、近所を走る鉄道の線路脇で用を足すのが習慣になっている。田舎に行けば、ほとんどの人々が外で用を足している。だから、女性が一人で外に出るこ とが多く、強姦事件が多発する。

 世界保健機関(WHO)によると、インドでは推定で6億2500万人が屋内トイレを利用できずにいるという。インド政府の国勢調査によると、インド人の53.2%は携帯電話を持っているが、その一方で、トイレ付きの家に住んでいる人は46.9%にすぎない。

 こうしたトイレ事情は、新興アジア諸国でもそう変わらない。インドほどひどくないが、トイレはあっても水洗トイレは都市部を除いてほとんどない。なぜなら、下水道が普及していないからだ。

 水洗トイレとは、日本の場合、家庭から下水道の本管に流れ、その本管は終末処理場に行くというシステムが確立されている。しかし、こうした下水道は、新興アジア諸国ではほとんど見られない。

 下水道普及率は、タイ9.6%、インド15.0%、フィリピン31.2%、インドネシア3.0%、ラオス19.2%、ベトナム18.0%、カンボジア 11.0%(Global WaterIntelligence, Global Water Market 2011 より)と惨憺たる状況だ。

 下水道を整備し、家庭用のトイレをウォシュレットに替える。これだけで、新興アジアの未来はさらに開けるし、日本企業のビジネスは大きく発展するだろう。

 このように、日本の家電の力は世界を変える。人々の生活を変えてしまう。だから、パナソニックやソニーが、テレビやケータイで韓国のサムスンやLGに敗れたことは、本当に残念だった。そしていま、冷蔵庫や洗濯機まで韓国勢や中国勢に敗れようとしている。

 しかし、エアコンとウォシュレットだけは、どんなに中・韓が頑張っても、日本のメーカーには勝てないだろう。

 日本のエアコンの性能は群を抜いている。とくにダイキンのインバーターエアコンは、世界最高のエアコンと言っていい。インバーター(周波数変換装置) で、ファンを動かすモーターの回転数を細かく制御でき、温度調節は自在だし、温度設定による自動作動・停止もできる。しかも静かだ。

 中国では、エアコン以上に必要な家電がある。日本の空気清浄機である。なにしろ、PM2.5は粒子が微細なために屋内にまで容赦なく侵入してくるので、高機能な日本製の空気清浄機でないと用をなさない。

 もはや人類の居住地域でなくなった北京の中関村(北京の秋葉原)で売れているのはダイキン、シャープ、パナソニックの空気清浄機で、中国製品は中国人で すら見向きもしない。ただし、日本製の空気清浄機は性能がよすぎて、感知センサーのランプが付きっぱなしになってしまうという。それくらい、北京の空気は 汚染がひどい。

 さて、再度インドの話になるが、インドではサムスンとLGの韓国2社が、早くから家庭用エアコンで3万円前後の格安製品を投入し、エアコン市場のシェア の半分を獲得していた。しかし、ここ2、3年で、ダイキンやパナソニックがシェアを伸ばし、韓国勢2社のシェアを奪いつつある。市場が成熟してくれば、最 終的に高機能の日本の家電が勝つのである。

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